【地理】現役北大生の地理講座第4回 単元別ポイント解説①地図

こんにちは!現役北大生の高岡伶丞です。本シリーズは、主に共通テスト地理で80点以上を安定して取りたい国公立志望の受験生に向けた全25回のシリーズです。前回は模試の活用法についてお話しました。第4回となる今回からは、地理の各単元について、ポイントと学習における注意点についてお話していきます。どうぞみなさん最後までお付き合いください。


さて、今回のテーマは「地図」です!地図というと、皆さんはどのような物を思い浮かべるでしょうか。日本地図でしょうか。日本を中心とする世界地図でしょうか。あるいはGoogle Map等のナビゲーションアプリかもしれませんね。そんな地図の単元は、実は教科書での扱いは大きくありません。「地理B」から「地理探求」へと科目が再編され、帝国書院の教科書ではほとんど扱われなくなってしまいました。

共通テストへの出題頻度も決して高いとまではいかない分野です。しかし、地図の単元への理解は、地理の学習全体の基盤となるものです。そしてなにより、この先の皆さんの日常生活にも大いに役立つ単元だと思いますので、しっかりと学習しておきましょう。


①ポイント解説

はじめに

地理の学習内容には基本的に「歴史的アプローチ」と「理論的アプローチ」があると、僕は考えています。「歴史的アプローチ」とは現在の状況について歴史を参照し、「昔こういうことがあってこうなった」と理由付けをしていくこと、「理論的アプローチ」とは現在の状況について科学的に「こういう事象があるからこうなる」と理由付けをしていくことです。これらはどちらがより優れているというわけではなく、単元によって使い分けたり、両方のアプローチから単元を見たりして、より深い見地を得るために活用していくものです。


⑴地図の歴史

まずは、地図について歴史的アプローチから迫ってみましょう。地図は古来から、交易や交流、そして支配のために欠かせないものでした。ヨーロッパにおいては、古代ギリシャの時代から「プトレマイオスの世界地図」と呼ばれる経線・緯線を用いた地図が作られていましたが、その後中世に入り科学が衰退すると、キリスト教の世界観を反映した「TOマップ」が作られました。

ルネサンス期の文芸復興ののち、メルカトル図法など、大航海時代を支える地図が考案され、発展していきました。世界の他の地域でも、その宗教的価値観に基づく地図や、ある程度の科学的知識を元にした地図が作られますが、基本的に現在の地図はヨーロッパの技術が反映されたものとなっています。日本にも江戸時代にオランダを通じて測量・作図技術が伝来すると、伊能忠敬の大日本沿海輿地全図などの優れた地図が作られました。



(2)地図の種類とその利用

次に理論的アプローチから地図に迫ってみましょう。赤道を0度とし、南北をそれぞれ90度に分けたものを緯度と言います。北極・ロンドン・南極をこの順で結ぶ線を本初子午線とし、東西をそれぞれ180度で分けたものを経度と言います。経度差が15度あるごとに、時差が1時間生じます(360°÷24=15°だから)。基本的に日付変更線から西に行くごとに時刻は遅れていきますが、迷ったときは、「日本はかなり早い方」と憶えておけば安心です。

地球は球体のため、平面の世界地図にはどこかしらひずみがうまれます。そのため、用途によってどの要素を正確にし、どの要素を犠牲にするかが異なります。現在主に使われる地図と、その特徴は以下の通りです。

メルカトル図法:常に北が真上となり、等角航路を作るのに便利。高緯度に向かうほど陸地の形と面積がいびつになる。航海で主に使用。

正距方位図法:図の中心からの方角と距離は正しいが、周縁部の形や面積のひずみが大きい。大圏航路を進む飛行機で主に使用。

サンソン図法、モルワイデ図法、グード図法:面積が正しい。それぞれの違いは省略。




(3)現代の地図

現代では、人工衛星から得られるデータをコンピュータで編集し、地図を作ります。これをリモートセンシングといいます。みなさんも、GPSという言葉を聴いたことがあると思いますが、これはアメリカのシステムをいう言葉であり、ああいった地図上の位置を示すシステムの総称を全球測位衛星システム(GNSS)と言います。また、コンピュータ上の地図にさまざまな地理情報を収集・分析・表現するシステムを地理情報システム(GIS)と言います。代表的なものには災害時の危険度や避難場所を示すハザードマップがあります。


また、地図を使って統計データを表現した図を統計地図といいます。統計地図にはドットマップや階級区分図、カルトグラムやメッシュマップなどがあり、それぞれ用途によって使い分けます。




本単元のポイント解説は以上です。


➁学習の注意点

上のポイント解説ではたくさんの種類の地図や用語が登場しました。上の文章だけを見て、それぞれの地図の違いを理解できた人はおそらくいないと思います。地図というのはもちろん「図」ですから、資料集やインターネット画像検索を通じて、実際にさまざまな地図を見ながら学習することが大切です。

とくに「このデータを表現する場合、どの統計地図を用いるのが適切か」といった問題は共通テスト第5問などでよく出題されるので、それぞれの名称とイメージ、そして特性を頭のなかで一致させることが重要となります。文章よりも画像のほうが視覚刺激が多く、記憶に残りやすいという特徴もあるので、地図の単元においてはとくに、積極的に画像を見ながら学習することをおすすめします。

また、ただ図を眺めるのではなく、この地図の特徴はなんだろうか、他の地図と何が異なるのかを考えながら、地図を観察することが大事です。地図に限らず、地理においては対象を観察する力が求められます。日常的な学習から、観察眼を養っていきましょう!


まとめ

地図分野、いかがだったでしょうか。少しとっつきにくい話題であったかもしれません。ですが共通テスト第5問「地域調査」などで、地図関連の問題が出題される可能性があります。また、始めにも述べたように、地図について理解することは、受験勉強だけでなく今後の人生のためにも重要な経験となると思いますので、画像や資料を駆使し、各地図の特徴を理解していきましょう。


次回は地形について扱います。ではまた。

(画像はすべて帝国書院 詳説地理Bより引用)


...この記事は現役北大生の高岡による地理の連載「百戦危うからず」の第4回の記事です。

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