塾や予備校に高額を払っても大学受験に失敗する理由...塾・予備校選びをするために必要な視点

大学受験は、人生において大きな岐路となるイベントです。

進学校だけでなく塾や予備校に通うことで合格率を上げようと考えるのではないでしょうか。しかし、実際には塾や予備校に入っても失敗する受験生は少なくありません。

大学受験で塾や予備校に入って大きなお金を払っても、全然成績が伸びずに大学受験に失敗することがあります。大手予備校でも第一志望の合格率は20%程度です。

大きなお金も必要だし頑張ったのに努力が報われないのは悔しくないですか?第一志望の大学に進学できなかったら、目指していた進路を諦めなければなりませんし、もし浪人するようなことになれば家庭全体に影響を与えることになってしまいます。

ではなぜ、大学受験で塾や予備校に入っても失敗してしまうのか、進学校出身、大手予備校、家庭教師、イクスタコーチを運営してきた私自身から、受験生目線と塾・予備校目線から考えられることをお伝えしていきます。


原因1:勉強法や計画が自分に合ったものになっていない

塾や予備校は、プロの先生がそれぞれの科目の授業を提供してくれて、その授業を受けて成績を上げて志望校合格まで目指していくものです。

これらの授業を受けて成績を伸ばすには、ある条件が合っていないければなりません。その条件とは、「授業のレベルと自分のレベルと志望校合格に必要なレベル、この3つのレベルが合っていること」です。

その授業がいい授業であるかどうかは、この条件に合っているかどうかです。授業が楽しいとか面白いなどは正直なところそれほど重要ではありません。授業は受けて終わりではなく、その後最低でも3周は自習で復習をしないと数ヶ月後にはほとんど全て忘れてしまって成績向上には繋がりません。

自分のレベルと授業のレベルがズレている

その授業を始めるタイミングで自分の成績が合っているかを気をつけてチェックする必要があります。

例えば英語の長文読解や数学、古文の読解、物理や化学は特に注意しないと、「授業が難しすぎて授業の内容も半分も分からないし、テキストも難しすぎて何度眺めても何も定着せず力にならない」という状態になってしまいます。

成績が上がらないという相談を受けてその受験生の勉強環境をチェックしてみると、授業や教材のレベルとその受験生のレベルが合っていない場合がとてもたくさんあります。

塾や予備校としては授業を取ってほしいですし、残念ながら担当者も正直そこまで真摯に受験生と授業のレベルをチェックしているわけではありません。

こうしたズレが積み重なって、勉強しても勉強しても全然成績が伸びない、ということになってしまいます。


原因2:原因と結果を分析する機会がない

大学受験は、原因と結果の関連性が高いプロセスです。原因と結果の関連性が高いというのは、行ったことの期待に対して、期待通りの結果が出やすいということです。

社会に出て研究やビジネスをしてみると、原因と結果の関連性が低いものばかりです。頑張っても結果が出ないことがたくさんあります。そもそも、何を頑張れば期待の結果に繋がるのかが分からないものの方が多いです。こうした因果関係が複雑なものが多いからこそ社会問題が解決されないまま存在しているわけですね。

一方大学受験では、参考書や教材の理解度・定着率と志望校の入試問題の得点率ははっきりと相関しています。自分の課題に合った手段と努力を続ければ、ちゃんと課題を解説できて期待通りの結果を手に入れやすいです。


何をどれくらい定着させればどれくらいの成績が取れるのか

例えば、英語で言えば英単語ターゲット1900の1500までが90%暗記できていて、英文法のVintageという参考書の内容が8割程度定着していれば、共通テストでも最低でも60%程度は得点できるんです。

もちろん、英単語ターゲット1900の1500までとVintageの8割を固めるためには長い時間がかかります。

各教科、各分野、参考書の定着率と入試問題での得点率は高い相関関係を示しています。これはイクスタコーチでこれまでたくさんの受験生の毎週の参考書の進み具合と、秋以降の毎週の過去問演習の得点率を見比べ続けた結果、相関関係を見つけることができました。


塾や予備校では、参考書や教材の定着率を詳しく聞いてもらえる機会はありません。そのため、成績を上げるためにはどのようなことをすればいいのか、今何が足りないのか、いつまでにどうなっていればいいのかの具体的な指示をもらえる機会は少ないのです。


あくまで塾や予備校が提供している授業を受けているかどうか、模試の結果を見て弱点を簡単に見つける程度です。

授業を受ける時間は受験勉強の2割程度です。ほとんどの時間は自習時間です。この自習時間においてパーフェクトな計画を立てるために、何をいつまでにどれくらい定着させればどれくらいの成績になるのか、そして果たしてそれは現実的な計画なのか、を個人の状況に合わせてサポートしてもらう必要があります。


塾や予備校ではこうした機能はないため、塾や予備校に入っても志望校に合格できない人が多く存在する結果となってしまいます。

原因3:逆算思考のロードマップを立てる機会がない

大学受験で難関大学に合格するためには、数多くの参考書を定着させる必要があります。1教科あたり少なくとも4冊、多い科目は8つほど、自分の成績と時期によって使い分ける必要があります。つまり20-30冊程度の教材を自分に合わせて管理しながら受験勉強を進めていく必要があります。はっきり言って、この管理が難しいです。各教材の内容やレベルを把握して、同時にその受験生の科目ごと、分野ごとの得意不得意を明確にしながら計画を作っていく必要があるからです。



これだけ多くの教材を把握しながら志望校合格にまで結びつけるためには、時期ごとに何を終わらせなければならないかのロードマップを作成する必要があります。

例えば、旧帝大や早慶に合格するためには9月にはMARCHレベルの過去問で合格点を取れている必要があり、9月にMARCHの合格点を取るためには夏休み終わりまでには定着させていなければならない教材があります。

これらは一例ですが、こうした関係性が数多く積み上がっていくのが大学受験なわけです。

時期ごとに達成すべきことを区切る

夏休み終わりに、英語・数学・国語はどうなっている必要があるのか

では、夏休みの初めには英語・数学・国語はどうなっている必要があるのか

4月には...(以下同)

などと問いを繰り返していくことで年間のロードマップを作成する必要があります。

こうした全体の計画やロードマップを作成する機会は塾や予備校では提供していません。

あくまで授業のスケジュールと模試のフィードバックくらいなのです。志望校合格という目標達成のためのサポートとしては足りないと言えるでしょう。



ここまで、なぜ大学受験で塾や予備校に入ってお金を払っても大学受験に失敗するのかについていくつかの原因を、受験生目線、塾や予備校目線両方からご紹介してきました。


◯ 授業が難しすぎる

◯ 塾・予備校からの提案と自分のレベルが合っていない

◯ どの教材をどれくらい定着すればどれくらいの成績になるのか把握できない

◯ 時期ごとに逆算してやるべきことの計画を立てることができていない


こうした原因があります。これは、塾や予備校が悪いのではなく、そもそもそうしたサービスを提供していない、できないという構造的な要因です。

逆に言えば、こうしたポイントを解決することができれば合格率をグッと高めることができます。

大学受験は、自分自身と向き合う大切な機会です。塾や予備校を利用するかどうかは、あくまでも選択肢のひとつです。自分に合った方法で、悔いのない受験をしてください。



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