「運」に騙されるな!共通テストでの実力を把握できる「期待値代入法」

共通テスト模試の点数が安定しない、過去問を解いても点数が上がらずむしろ下がってしまった、ひょっとしたら自分は今「スランプ」なのかもしれない……。そんなお悩みを抱えるあなたに、共通テストでの実力を正確に把握できる「期待値代入法」をお教えしよう。この分析法は、勉強したのに点数が下がる「スランプ」現象に悩んでいたり、共通テスト模試や過去問をどう活用していいか分からない方に、最適な方法である。さらにこの方法、共通テストで9割を安定して得点するために重要となるアプローチの一つでもあるのだ。是非ともご一読の上、実践されたい。

何のために共通テスト模試・過去問を解くのか

本題に入る前に、一つ確認をしたいと思う。あなたは、一体何のために共通テスト模試を受けたり、共通テスト過去問を解いたりするのだろうか。もちろんその理由として、本番の問題形式の把握や時間配分の確認を挙げて頂いても構わない。しかし、年に何回も、何年分も解く理由としては、「共通テストに対する自分の実力を正確に把握するため」というのが最も大きな理由ではないだろうか。もし今の自分の実力で本番の共通テストに臨んだら、果たして何点とれるのか。それを数値によって正確に把握する、ということに、意義があるのではないだろうか。

出てくる点数は嘘つきだ!

共通テスト模試・過去問を解く理由が「共通テストに対する自分の実力を正確に把握するため」ならば、全国の受験生はほぼ全員不可解な行動をとっていることになる。その不可解な行動を端的にご理解いただくため、簡単な例を一つご紹介しよう。

近所の幼稚園に通うA君は、新聞に載ってある共通テストの問題を目にし、両親の好奇心もあって、国語の問題を解いてみることにしました。もちろんA君は、漢文はもちろん、現代文や古文だって何を言っているのかさっぱりわかりません。両親からのルール説明通り、次々と5択のどれかに丸を付けていくA君。全ての問題に丸を付け終わったところで、両親が採点してみると、なんとビックリ! 全問正解して200点を獲得したのです! ここで皆さんに質問です。A君は共通テスト国語で200点を取る実力があると認められるでしょうか?

もちろん答えは「ノー」である。私がこの例を挙げたのは、決してあなたをおちょくっているからではなく、全国の一般的な高校生ならば誰しもがやってしまう不可解な行動を示すためである。その不可解な行動とは、「出てきた点数をそのまま実力だと信じている」ことだ。

 例に挙げたA君はさっぱりわからないのに200点を取ってしまった。ここでは明らかに、「点数」と「実力」に差が出ている。皆さんが受けた共通テスト模試でも、2択まで絞れたけど最後は適当に答えたら正解していたことがよくあるだろう。これも「点数」と「実力」の差である。「点数」を見ていては、「実力」を見ることはできない。ならば、「点数」と「実力」の差を取り除けば、「実力」を見ることができる。そして、その差の正体こそが、「運」である。

共通テストの点数に騙されるワケその1 「クジ引きの論理」

この厄介な「運」のせいで、勉強したのに点数が下がる「スランプ」現象が発生する。その仕組みを説明するために、ちょっとした数学を用いた例にお付き合い願いたい。

2本の当たりクジを含む10本のクジがあります。試しに3本引いてみると、2本の当たりクジを引くことができました。次に、当たりクジを5本増やし、10本のうち7本が当たりクジになりました。同じように3本引いたのですが、今度は1本しか当たりクジを引けませんでした。クジを引いた人は「スランプ」に陥りました。

あなたは日頃から受験勉強に励んでいるから、実力は間違いなく上がっている。にもかかわらず点数が下がるのは、例に挙げたようなことが発生しているからである。いくら勉強をして当たりクジを増やそうとも、共通テストでは全範囲が出題される訳ではないから、どの範囲が出題されるかについて「運」の要素が入り、「実力」が測定できなくなってしまう。これが所謂「スランプ」の一因である。

とはいっても、この「クジ引きの論理」に関しては自然と解決されることが多い。なぜなら、共通テストには頻出範囲というものもある上、数年分解いて復習をすれば、全範囲に目を通すことが可能になってくるからである。当たりクジが8~9本になってくれば、6割を大きく切ることは無くなってくる。しかし、9割以上を狙うとなると、解決すべき「運」の要素がまだ残っているのである。

共通テストの点数に騙されるワケその2 「期待値をめぐる運の嘘」

最初の例で、「運」のみで満点を取ったA君が登場したが、なぜこのようなことが起こってしまうのだろうか。この原因は、共通テストが選択肢式であるということに深く関わっており、「期待値」という概念を用いて説明できる。

簡単に、5択の問題が20問あり、各10点であるテストをA君が受けたと想定しよう。A君にとって、5つの選択肢はすべて同じように見えているから、ある選択肢を選ぶ確率はそれぞれ5分の1である。一問10点だから、この問題でA君が得られる点数の期待値は2点である。それが20問あるから、この試験でのA君の得点の期待値は40点となる。

この計算が何を意味しているのかというと、A君は、「選択肢を選び回答する」だけで40点、「実力」では0点、「運」で160点獲得しているということである。共通テストは選択肢式であるから、何も考えなくとも「選択肢を選び回答する」だけで点数をもらえる可能性がある。「分からなくてもとりあえず全部埋めろ」というのはこのためである。

あなたに発生し得る「スランプ」の二つ目の原因というのは、日ごろの勉強による「実力」点の増加が、「運」点の減少によって打ち消されてしまう、ということが起こっているからである。何度も言うが、あなたの実力は間違いなく上がっている。もしそんなあなたが「スランプ」に苦しめられているなら、それは、今のあなたに「運」が無いからである。そしてさらに言うならば、共通テストで高得点を取るには、パワーストーンを購入して「運」の力を上げようとするよりも、律儀に「実力」を上げる方が近道であるから、「運」からはさっさと決別すべきである。

 

「期待値代入法」の手順

「運」からの決別の方法、「期待値代入法」の具体的手順を説明しよう。以下の4手順を踏むと、「実力」点が出てくる。

 

 1.共通テスト模試・過去問を解き終わったら、採点する前に、選択する際「運」に頼った問題をチェックする。

 2.チェックした問題の選択肢を見て、実際に選んだ選択肢と、迷って選ばなかった選択肢をチェックする。

 3.チェックしなかった問題の得点合計を出す。

 4.チェックした問題の得点合計を出す。その際、以下の手順を行う。

・解答が「実際に選んだ選択肢または迷って選ばなかった選択肢」に入っている場合、「実際に選んだ選択肢または迷って選ばなかった選択肢」の選択肢の数で配点を割り算し、得点とする。

・解答が「実際に選んだ選択肢または迷って選ばなかった選択肢」に入っていなかった場合、0点とする。

 

 4.に関して具体例を挙げる。配点が4点、4択の問題で、1番と3番で迷った後、勘で1番を選び正解したとする。この場合は、4(点)/2(択) = 2(点) を得点とする。たとえ正解していたとしても、勘で回答した場合は点数が下がるということに注意していただきたい。また、同じ問題・迷い方で正解が2番だった場合、0点となる。これは、自分が自信をもって正解を不正解だと思っている深刻な事態であるので、ただ当てずっぽうに選ぶよりも得点が下がることについても納得いただけるだろう。

 この「期待値代入法」の効用は、自分の実力が数値で分かることはもちろん、運による正解によって隠れてしまった自分の弱点を発掘できることにある。この弱点の発掘こそが、共通テストで9割以上を安定して得点するには必須であるから、「期待値」の仕組みを熟知しながら、是非とも実践してほしい。

 

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