埴輪|日本史用語集
埴輪の概要
古墳の表面上に立てて並べられた素焼きの土製品。筒形の円筒埴輪と人物・動物などをかたどった形象埴輪に大別される。
埴輪の解説
権力者の墓である古墳の表面上に並べられている素焼きの土製品。「日本書紀」に、古墳を作る際に殉死として生きたまま人を埋める習慣を止めさせようと、野見宿禰(のみのすくね)が人型を粘土で作り、天皇に提案したと書かれているのが、埴輪の始まりだとされている。しかし、史実の実態とは合っていないことから伝説でしか語られていない。その後、野見宿禰を祖先とする一族が天皇の喪葬を取り仕切るようになった土師部(はじべ)とされている。 埴輪の始まりは、殉死説のほかに飾り・土留め・柵代わり・葬式の模倣などがある。 埴輪の形は2種類からなっている。円筒埴輪は、初期から作られており、単純な筒の形をしたものと、上の口の部分が広がっている朝顔形の2つが代表的な形となる。形象埴輪は、家形埴輪・器財埴輪(武器や武具)が4世紀後半から始まったとされており、5世紀中ごろに人物埴輪や動物埴輪が作られている。 埴輪は円筒埴輪のように同じ形をしているものが並んでいることが多い。粘土を型にはめて同じ埴輪をたくさん作っているのではなく、一つずつ粘土をこねる手作業で作られている。 埴輪は古墳が作られた時代の人々の習慣や風俗を知る上でも貴重な史料となっている。