現役東工大生に聞いた!東工大の物理を対策する上で知っておきたい勉強法や参考書

東京工業大学の物理の対策法

こんにちは。イクスタ編集部です。

今回は東工大の物理対策について述べていきます。

今回紹介していく対策法は東工大に合格した現役東工大生に聞いた対策法なので、東工大を目指す受験生はぜひ参考にしてみてくださいね!

◇目次◇

大学の入試情報

東工大には4つの入試方式があります。

前期日程

後期日程 (第7類)

推薦入試 (第1類)

AO入試 (第2~7類)

今回はは、最も一般的な(1)の前期日程についてご紹介していきます。また、この入試情報は特筆していなければ平成29年度入学試験の予定と平成28年度入試の結果に基づいています。

東工大入試の配点について

前期日程では、センター試験を他の国公立大と同じく5教科7科目受験する必要があります。
ただ、東工大の合格の仕組みが他の国公立大と違うのは、センター試験の5教科7科目で950点中600点を取れなければ不合格ですが、600点を超えたらあとはセンター試験の点数については不問で、合否は2次試験の点数のみで決まるという点です。

950点満点ということは“圧縮”なしであり、理論上は2次試験でも使う4つの科目、英語(筆記)、数学IAIIB、物理、化学が全て満点なら600点に届く計算になります。

東工大は2次試験がかなり難しいというのもあり、合格のためにはセンター試験よりもむしろ2次試験に重きを置いて勉強することが大事になります。

2次試験は通例2日間かけて行われ、1日目は数学(180分!)と英語(90分)、2日目は物理(120分)と化学(120分)という別れ方になっています。

1日あたりの科目こそ少ないですが、理数科目の時間がかなり長く、集中力が必要となります。とくに数学はおそらくAO推薦入試を除き日本最長の試験時間で、この時間で5~6題をじっくり考えることになります。

配点や問題は類によって変わりません。数学が300点、ほかの英語・物理・化学が150点ずつです。また、合格最低点は例年400点前後です。これをもとに各教科の目標点数を考えていきましょう。今回はとりあえず、合格最低点はおよそ450点と考えましょう。最近3年ほどは、どの類も合格最低点が450点未満です。もっとも、実際は450点はかなり高い点数だとも思います。

各科目で取っておきたい点数

この配点からわかるように、まずとにかく数学対策が大事になります。詳しい問題傾向はあとでご説明しますが、数学では7割を確保しておくことができればと安心感を持って他の科目の対策をすることができます。
数学で7割の点数を取れれば合格最低点である450点に届かせるためにはあと240点を3教科で分ければよいのですから。
東工大受験では数学が苦手なのは致命的で、せめて5割5分(165点)、内訳としては5問中2問完答+かなり部分点 は欲しいところです。

英語に関しては、東工大受験生には英語が苦手な人も多いので、2次試験の150点中100点ぐらいを安定して得点できるとかなりアドバンテージになります。
英語が本当に苦手でもが数学と理科の力だけで入学するという例も私の周りでたまに聞きますが、大学入学後に英語の外部試験の受験が義務付けられていたりするので、受験勉強の段階から英語をやっておいて損はありません。

物理は時間の長さもあり、かなり問題が重厚ですが、実は難問奇問の例はあまりないので、地道に盤石な基礎を築いていれば100点ぐらいならすぐ取れるようになります。落ち着いて、集中して考えることが肝要です。

化学は、昔は難問が多く鬼畜な科目とかレジェンドとか言われていましたが、最近はかなり易化が進んでおり、物理と同様100点ぐらいなら意外とたやすく取れます。むしろ化学が苦手でなければ稼ぎどころとまで言われています。

というわけで、例えばプラン例として450点を目指し、数学で210+英語・物理・化学で80ずつとか、数学で170+英語で80+物理で110+化学で90などの計画を立てることができます。

もちろんこれは一例なので、ご自分の得意不得意に合わせて一度立ててみてください。実際、450点はかなり高い目標ですが、勉強するときは少しぐらいハードルをあげましょう。

さて、以下では本題である東工大物理の傾向と対策について解説します。それに伴い勉強の方針や参考書を紹介します。

東工大物理の難易度

東工大の物理は、単独で120分という試験時間で、大問が3つの構成になっています。見直しの時間を含めなければ1問に40分使えるわけで、大問のひとつがとても重くなっています。

ただ、誘導のひとつひとつはそこまで難易度が高くないものも多いため、問題を落ち着いて捉えて確実に答えていく、という姿勢が(当たり前ではありますが)重要になります。

東工大物理の傾向

電磁気学と力学は頻出

電磁気学と力学はかならず出ると言ってよく、また熱力学や波動も、単独の大問としてだけでなくときには力学や電磁気学と混ぜて出題されることもあります。象徴的なのが2014年度の「極板間に気体が封入されたコンデンサ」でしょうか。

東工大の物理を解くには本質的な深い理解が必要

東工大の物理では全ての分野に深い理解が必要になるため、他の科目と同様極端な苦手を残すことはできません。問題設定として目新しいものも毎年のように作られており、ただの暗記や典型問題を積み上げるだけではいつまで経っても解けません。

分野混合だったり目新しい問題設定であったりしても、問題の性質としては悪問が出題されるのではなく、むしろ面白い題材で、また誘導もギャップが大きすぎるものは少ないです。

そのような問題に対応するには物理の王道といえる、第一原理からしっかりと考えるということが重要になります。といっても、第一原理って何だと思う方もいるでしょう。そこからの勉強法をこれからご説明していきます。

東工大物理の勉強法

続いて、東大物理の勉強法について述べていきたいと思います。

物理は第一原理を理解するのが大切

物理学とは、根本的な物理法則を定め、そこからその分野のすべての現象を導いていく学問体系です。例えば(高校レベルの)力学は、Newtonの運動方程式と運動の三法則が第一原理になっており、そこから運動量と力積の法則、力学的エネルギー、単振動などなどが導かれます。

また高校の電磁気学はCoulombの法則と力学が第一原理となっています。この「導く」という考えが重要となります。

[公式をただ暗記するだけではなく、それを導く過程を追って納得し、また問題では第一原理から考えて、導いた答えのグラフを描いてそれを考察したりして納得する]

そんなふうに、公式や問題を研究して第一原理から導いた答えに納得するということを繰り返すのが重要になります。それが物理学の基本です。公式をその導出から身につけるということが重要なのです。

現象をイメージして問題を解いていく

そして、納得のためにはイメージすることが欠かせません。第一原理の数式からすべて現象をイメージしてください。例えばNewtonの運動方程式は「力を加え続けると加速する、その加速度の大きさは重さによる」ということをイメージします。

電気回路も、ある瞬間(時間を固定して)回路を一周して戻ると電位はかならず同じ、ということをイメージします。出てきた答えもイメージして考察します。

普段の演習から問題研究をしよう!

普段の演習として問題を解くとき、前述の部分にも少し書いていますが、求められていなくても導いた答えのグラフを描いたり、パラメータの一つを無限大や0など極端な値に飛ばしてみて考察したりということが重要になります。つまりは問題研究です。

例えば簡単な例として、水平投射した物体は落下距離y、重力加速度g、初速v_0、位置xに対しy=gx^2/(2(v_0)^2) という式が成り立ちます。本当はこれをNewtonの運動方程式から導いていただきたいのですが今は省略して、このパラメータを変化させることを考えます。

初速v_0を大きくしていくと、より大きなyを得るためには大きなxが必要になる、つまり遠くへ飛ぶということになります。

また、重力加速度gが大きい、つまり仮に重力が強くなると落下距離yは大きくなる。つまり大きく落下するということになります。どれも納得のいく現象ですね。このような、正しい想像を伴った問題研究を繰り返すことが必要なのです。

東工大物理を対策する上でおすすめの参考書

さて、以下では参考書を紹介していきます。この科目は時に、教科書では歯にものが挟まったかのような物言いになってしまうことがあります。というのは文科省の検定があると微分・積分が使えなくなってしまうからです。

ただ、例えば仕事をF-xグラフの面積であると紹介しているのは積分そのものですし、高校物理の本質的理解に微分積分は欠くことができないと私は思っています。

教科書自体は大事ですが、教科書と微分積分も使って書いてある参考書を交互に読んだりして理解するのが一番の近道だと思います。

物理を理解するための参考書

山本 義隆『新・物理入門』 駿台文庫

新・物理入門 物理の参考書

というわけで、その「微分積分も使って書いてある参考書」です。やたら難しいとか言われたりしていますが、実際第一原理から導くのは微分積分なしにはできないので、東工大物理の対策にはこのような参考書を読むのが有効です。その意味では『物理のエッセンス』は、私はあまりお勧めしません。

ただしこの参考書を最初から、完全にすべての数式を理解するのは、物理学科志望の高校1,2年生なら勧められるのですが、高校3年生にはあまりお勧めしません。時間がないからです。

とくに波動のあたりは三角関数をひたすら足し合わせたりする数式が出てきたりしますが、そのような細部は追わなくても大丈夫です。つまり公式がどのように(微分積分を使ったら)導かれるかを把握すればよいのです。

また、解答を微積を使って書くのは、微積を使った物理に慣れていなければやめておいたほうが無難でしょう。その場合、公式の導出までは微積も使って理解して忘れにくくして、本番の解答はそれらの公式や第一原理を使って解く、という使い方をすればよいのです。

私はへたに学術的な解答を書いて足元をすくわれるよりは、そちらの方が良いと思いました。微積を使わないでというか、微積を使わなくても解けるように問題は作られていますし。

演習のための参考書

浜島 清利『良問の風物理』シリーズ、河合塾シリーズ

物理の参考書 良問の風

『物理重要問題集』数研出版

物理重要問題集

演習用の問題集の紹介です。最初は学校指定の問題集等でも良いのですが、それが気に入らなかったらこれらを見てください。

なお、実は学校指定の問題集などを終わらせたぐらいの段階でも、東工大の問題は誘導が丁寧なものも多いので、しっかり身についていれば少なくとも大問の途中までは食らいつけるようになります。よって、これらの問題集を新たにやるのは一応省略可能です。ただ2冊目としての少し難易度の上がった問題集をやった方が良いのは確かです。

2冊目の問題集としてやるとしたら『名問の森』か『物理重要問題集』でしょう。

この二つは考えさせる良い問題が収録されているので、問題を解いて解説を理解すればしっかりとした力がつきます。

良問の風や物理重要問題集について詳しい特徴や難易度などを知りたい受験生は以下の記事を参考にしましょう。

『良問の風』は後の2つに比べると標準的ですが、微積を交えて公式を理解しつつ解けばより力がつくと思います。これを終えてから『名問の森』に行くのが定番みたいなところもありますが、時間がなければ不安な分野だけ『名問の森』でカバーしつつ過去問や予想問題で力をつけるのもありです。

名門の森についてもっと詳しい特徴や難易度を知りたい受験生は以下の記事を参考にしましょう。

過去問・予想問題集

教学社編集部 編『東工大の物理15カ年』教学社

東工大の物理15カ年

駿台全国入試模試センター 編『東京工業大学への理科』駿台文庫

東京工業大学への理科 実戦模試演習

というわけで、10月後半〜11月になったらこれらを解くことをおすすめします。実際の過去問演習で問題が被らないようにすることを考えると、化学も収録されている『東京工業大学への理科』がわりとおすすめです。

標準的な問題集(良問の風ぐらい)をある程度こなしていれば、多少不安がある部分が残っていてもこれらの問題集でカバー可能です。

何度も書いているように、東工大の問題は誘導が丁寧なものも多いので、しっかり身についていれば少なくとも大問の途中までは食らいつけますし、またちゃんと『新・物理入門』や教科書・問題集を読んでの解き直し・復習をすれば力はつきます。

原子分野を除き(※)あらゆる2次試験に対応できるようになります。じっくり考えれば完答できることも多いでしょうし、ぜひ時間を120分に設定してやってみることをおすすめします。

原子分野は過去問に出ていません。『東京工業大学への理科』は最新版を確認していませんが、おそらく新課程になったばかりですし原子分野はあるとしても少ないでしょう。ただこれから出る可能性もあるため、この分野の学習もおろそかにしてはいけません。

東工大物理の過去問の使い方

最後に東工大物理の過去問の使い方を述べていきたいと思います。

問題を考え抜く練習をしよう!

実際の過去問演習でも、目新しい設定に対して第一原理から考えて答えるという考え方は変わりません。時間を120分たっぷり使って考え抜く練習をしましょう。

時間がない解く直前期は問題をこなそう!

数学と同様、ここでも問題研究は有効です。もっとも、問題研究を普段の学習からやっていれば時間がない直前期は控えめに淡々と問題を解けばいいかもしれません。

おわりに

物理は自然科学全般で使われます(私個人の考えでは数学は自然科学ではありません。数理物理はまたちょっと話がややこしくなりますが)。

生物学でも生物物理学+数学で一大分野になっていますし、タンパク質の構造計算や解析はもろに物理が含まれますし、情報科学でもエントロピー関連や電気回路で物理の知識を必要とする分野があります。

何よりも、第一原理から導き起こることを予測していくというのは物理の特権です。ぜひこの科目の「未来を予言できる」という体験を楽しんでくださいね。
 

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